9月29日(木)、(株)ヤンセンファーマさんにご協力いただき、まえだ薬局にて統合失調症について勉強会を行いました。
まず、「統合失調症」とは思考や感情などの精神機能のネットワークがうまく働かなくなった状態で、100人に1人の割合で、誰にでも起こりうる疾患だということに驚きました。
こんなことはありませんか?
毎日の生活の中で、「周りに人がいないのに誰かの声が聞こえてくる」事はありませんか?例えば、電車の中で誰かが自分の悪口を言っているなど、一度の体験なら「気のせいかな?」で軽く流せますが、度重なって聞こえてくるとつらく深刻な問題となり、その声に苦しめ悩まされることになります。
正体不明の声
「正体不明の声が聞こえる」ことは、不安 孤立 過労 不眠 が重なって、しばらくの間続くときにしばしばみられる現象で、そう稀なことでありません。
今回の勉強会では、「バーチャルハルシネーション」を利用して、統合失調症の急性期にみられる症状の一つであるこの「正体不明の声」をイヤホンと3D映像で疑似体験させていただきました
場面設定は、「自分がリストラされたサラリーマンになり、喫茶店に入って注文する」という日常的にどこにでもありそうなシーンです。
幻聴がもたらすさまざまな悪影響
しょっちゅう幻聴が聞こえてくるので、やかましくうっとうしいし、物事に集中するのが難しくなる。
「悪口」が聞こえて、不愉快で傷つき、「脅かすような内容」が聞こえて、不安や恐怖がつのる。
「命令」が聞こえてきて、混乱させられがちになる。
実際にはありえない内容が聞こえてきて、「事実無根の思い込み(妄想)」が生じがちになる。
他人が「自分に関する立ち入った噂話」をしているように聞こえ、自分のプライバシーが不特定多数の人に伝わっているという思い込みが生じやすくなる。
もちろん「幻聴」=「統合失調症」ではありませんが、統合失調症のこういった症状を理解し、ご本人がどのようにそれを感じているかを把握してください。ご本人はとてもつらい思いをしていることが多いのです。
統合失調症は、きちんと治療(通院、服薬)を継続し、家族のサポートなど環境が整えば、ごく普通の日常生活が送れるほどに回復します。特に、ご家族や周りの人間の適切な励ましや手助けが、回復への大きな力になります
治療の中心となる抗精神病薬に関わる薬剤師として、薬の知識の補填、服薬管理はもちろん、回復にむけてどんなサポートをしていけるか、しっかり考えていきたいと思います